このような共通テストに対して、どのように学習を進めていけばよいのでしょうか。これまでのセンター試験では、知識・技能を単純に詰め込む学習だけでもある程度は通用しましたが、共通テストでは習得した知識・技能をしっかりと理解した上で使いこなす力、すなわち思考力・判断力・表現力の養成が必要となります。
令和3年度入試から始まった大学入学共通テスト。当初、英語の民間試験利用や数学・国語での記述問題導入が話題となりましたが、それらは一旦見送られることになりました。しかし、実はマークシート式問題ということはセンター試験と変わらなくても、出題傾向はセンター試験とは若干異なったものになりました。
令和3年度入試の問題を見ると、複数の資料・文献から様々な情報を組み合わせて解答を求める問題や、正解が1つと限らない問題(「正しいものを全て選べ」というタイプの問題)など、思考力・判断力・表現力や主体性・協働性・多様性をより重視した出題となっています。基本的な知識が定着していることを前提に、より高度な能力が求められることになります。つまり「覚えていればOK」だけではなく、覚えた知識・技能を「どのように活用するか」を問われる問題がより多くなり、センター試験以上に計画的な準備が必要になります。
① 複数の情報を組み合わせて考える問題
② 会話文形式の問題
③ 日常生活の場面に即した問題
④ 当てはまるものすべてを選ぶ問題
⑤ 前の問題が次の問題に連動する問題
最後のセンター試験となった令和2年度センター試験においても上記の傾向を含んだ出題が見られ、そのために平均点の下がった科目が見られています。また、これまでセンター試験では60%程度の平均点であり、共通テストでは50%程度に想定されていましたが、実際はセンター試験とほぼ同じ60%程度の平均点という結果に推移しました。
大学入試には、一般入試の他にも、推薦入試、AO入試などの方式があります。入試制度を正しく理解することも合格のためには必要なことです。ここでは入試の流れとともに、様々な選抜方法について解説していきます。
大学入試センターによって全国一斉に実施される試験です。毎年 1 月中旬の土曜、 日曜の 2 日間で行われます (出願期間は 10 月上旬~中旬) 。国語・地歴・公民・数学・理科・外国語の 6 教科 32 科目の中から各大学が指定する科目を受験します。一般に国公立大学を受験するすべての受験生が受験し、 一次試験という形になります。また私立大学でも大学入学共通テストを利用する大学が増加してきています。
前期日程・後期日程の 2 回に分けて行われます。 公立では中期試験を行うところもあります。出願は大学入学共通テスト終了後、 1 月下旬から 2 月上旬にかけて行われ、 前期・中期・後期それぞれ 1 校ずつ出願できます。この時点で二段階選抜を行う大学があります。
これは応募倍率が各大学の指定する数値を越えたときに、大学入学共通テストの結果で一回目の選抜を行い、その合格者のみが二次試験(前期・後期)を受験できるという制度です。
前期日程は 2 月の下旬から始まり、3 月 10 日までに合格発表があります。 合格した場合の手続きは 3 月 15 日までですが、ここで手続きを済ませてしまうと 3 月 12 日から始まる後期日程の合格資格がなくなりますので注意が必要です。 前期日程は学力による選抜試験で各大学が指定する科目で行われます。後期日程は学力試験の他に小論文や面接を行うところもあります。 後期日程は募集人員が少なく毎年高倍率となります。
■ 一般入試
各大学が独自に行う学力選抜です。試験日程は、各大学、各学部によって様々です。大学によっては試験日程を 2 回に分けて行ったり、面接をするところもあります。例年1月の後半から2月にかけて行われ、2次募集、3次募集を含めると3月まで試験は行われています。
■大学入学共通テスト方式
一般入試とは別で、大学入学共通テストの結果のみで合否が判定されます。募集人員は各大学、各学部とも若干名です。
一般入試に先立って行われ、その種類も様々です。
■ 公募制推薦
各大学 (国公・私立) が定める条件 (主に 高校 3 年間の成績) を満たしていれば出願・ 受験ができます。選考方法は書類審査・面接・小論文などで行われるが大学によっては学力試験を課すところもあります。例年どの大学も競争率は一般入試よりも高くなっています。
■ 指定校推薦
各大学 (公・私立) が特定の高校に自分の大学に入学する生徒を推薦してもらい選抜する方法です。該当する高校の生徒しか受けられず、募集人員は各高校から若干名です。公募制と違い合格率はかなり高いですが、 高校内での競争に勝たなければなりません。
■ 自己推薦入試
受験生が自分自身をアピールし、自ら推薦書を書いて応募できる試験です.学力だけではなく、 取得資格・特技・部活動での成績・ボランティア活動の実績などを提示することができます。
総合型選抜は学力以外の能力や取得資格、高校での体験などを踏まえて、大学側が総合的に受験生を評価して選抜する試験です。 国立・私立大学で実施されていて募集人員は少なく毎年高倍率となります。